将棋には特殊な勝敗の決め方「入玉」があり、王様を詰ますことが難しいと判断された場合に適用されます。
りゅうや
入玉とは
入玉とは、王将が敵陣にいる状態を指します。
将棋の駒は後ろに移動する動きが少なく、入玉すると詰みにくくなるため特殊な判定で勝敗が決まることがあります。
入玉時の勝敗は駒の得点で決まる
将棋の駒には得点があり、入玉時には味方駒の得点の総数で勝敗を決めます。
得点は以下の通りで、生駒・成駒関係なく同じ得点となります。
- 王将・(玉将):0点
- 飛車・角行:5点
- その他の駒:1点
勝敗の判定|24点法・27点法
入玉時の駒の総数で勝敗を判定するルールには2種類あり、対局する際はどちらか1つを採用します。
- 24点法
- 27点法
りゅうや
それぞれのルールを1つずつ見ていきましょう^^
24点法とは
24点法は、プロ棋士の対局でよく採用されるルールです。
24点法のルールは、お互いの同意の元で引き分けになる「持将棋(じしょうぎ)」と、
宣言することで対局を一方的に終わらせることが可能な「宣言法」があることです。
どのような局面で「持将棋」を提案、「宣言法」を宣言できるのか詳しく解説していきます。
24点法での持将棋
以下の条件を満たしていれば、持将棋にて引き分けとなります。
- お互い入玉している
- 両プレイヤーとも、駒の得点が24点以上ある
- お互い持将棋に同意している
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実際に、24点法で持ち将棋を提案できる局面を見てみましょう。
【お互いに入玉している】
上記局面では、お互いに入玉していることが分かりますね。
次に駒の得点を数えてみましょう。
【駒の得点がお互い24点以上ある】
味方の駒に赤色のまるで囲っています。
この囲っている駒の得点を全て足して、指し手の総得点を表にしてみますね。
駒の種類 | 枚数 | 1枚当たりの得点 | 合計点 |
王将・(玉将) | 1枚 | 0点 | 0点 |
飛車・角行 | 3点 | 5点 | 15点 |
その他の駒 | 13点 | 1点 | 13点 |
28点 |
駒の総得点は28点となりました。
同様に相手の駒の総得点を計算すると26点となり、お互いに24点以上の得点があるため、後は同意さえあれば引き分けになります。
24点法での宣言法
以下の条件を満たしていれば、宣言法を宣言できます。
- 自分の手番
- 自分の王様が入玉している
- 自分の王様に王手が掛けられていない
- 敵陣にある自分の駒が、王将以外に10枚以上ある
- 敵陣にある自分の駒と、持ち駒の総得点が24点以上ある
宣言を行うと、以下の通りに勝敗が決まります。
引き分け | 敵陣にある自分の駒と持ち駒の総得点が30点以下 |
宣言したプレイヤーの勝ち | 敵陣にある自分の駒と持ち駒の総得点が31点以上 |
実際に、24点法で宣言法を宣言できる局面を見てみましょう。
【自分の王将が入玉している】
上記の局面では、自分の手番とします。
自分の王将が入玉していることが分かりますね。
続いて、敵陣にある駒の数(王将を除く)を数えると10枚以上あるので、宣言法を宣言できる条件を満たしています。
【敵陣に自分の駒(王将を除く)が10枚以上ある】
次に駒の総得点を計算します。
図の赤いまるで囲っている駒のみ、得点としてカウントしましょう。
【敵陣の駒と持ち駒のみ得点にカウントする】
駒の総得点は28点ありました。
得点が24点以上30点以下の場合は、宣言を行うことで引き分けにすることが可能です。
宣言法にて得点が31点以上あれば、宣言したプレイヤーの勝ちとなります。
りゅうや
24点法まとめ
- 入玉した際に勝敗を決める特殊なルール
- 【持将棋】お互い24点以上あり、同意があれば「持将棋」で引き分けに
- 【宣言法】どちらかが24点以上あり、敵陣に10枚以上自分の駒(王将を除く)があれば宣言法を宣言でき、引き分けか勝ちとなる
27点法とは
27点法は、アマチュアの対局でよく採用されるルールです。
27点法には24点法と同じく、持将棋と宣言法があるのですが、宣言法のルールが少し違います。
それは、宣言したプレイヤーは得点を問わずに勝利となることです。
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27点法での持将棋
以下の条件を満たしていれば、持将棋にて引き分けとなります。
- お互い入玉している
- 両プレイヤーとも、駒の得点が24点以上ある
- お互い持将棋に同意している
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27点法での宣言法
以下の条件を満たしていれば、宣言法を宣言できます。
27点法の宣言法は、宣言に必要な得点数が変わっています。
- 自分の手番
- 自分の王様が入玉している
- 自分の王様に王手が掛けられていない
- 敵陣にある自分の駒が、王将以外に10枚以上ある
- 敵陣にある自分の駒と、持ち駒の総得点が先手の場合は28点以上、後手の場合は27点以上ある
27点法では宣言が成立した時点で、宣言したプレイヤーの勝ちとなります。
りゅうや
実際に、27点法で宣言法を宣言できる局面を見てみましょう。
【自分の王将が入玉している】
上記の局面では、自分の手番とします。
自分の王将が入玉していることが分かりますね。
続いて、敵陣にある駒の数(王将を除く)を数えると10枚以上あるので、宣言法を宣言できる条件を満たしています。
【敵陣に自分の駒(王将を除く)が10枚以上ある】
次に駒の総得点を計算します。
図の赤いまるで囲っている駒のみ、得点としてカウントしましょう。
【敵陣の駒と持ち駒のみ得点にカウントする】
駒の総得点は28点ありました。
27点法では、先手で28点以上あれば宣言可能なので、この局面は勝ちとなります。
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ですが、27点法では先手なら28点、後手なら27点あれば宣言でき勝利となることがポイントです!
27点法まとめ
- 入玉した際に勝敗を決める特殊なルール
- 【持将棋】お互い24点以上あり、同意があれば「持将棋」で引き分けに
- 【宣言法】どちらかが規定の得点以上あり、敵陣に10枚以上自分の駒(王将を除く)があれば宣言することで勝利となる(規定の得点は先手28点、後手27点)
トライルールとは
スマホアプリの”将棋クエスト”など、一部の将棋ゲームでは「トライルール」と言う特殊な入玉ルールがあります。
トライルールでは、自分の王将が将棋盤の5筋の1番奥のマスに移動した時、その場で無条件勝利となります。
りゅうや
実際にトライルールで勝利となる局面を見てみましょう。
【トライルールで勝利】
自分の王将が5筋の1段目に移動した時点で、無条件勝利となります。
ただし、トライルール以外では勝利になりません。
24点法・27点法だと以下のように詰んで負けとなってしまうので、採用されているルールには気を付けてくださいね。
【24点法・27点法だと詰んで負けになる】
【オマケ】手数が500手で無条件に引き分け
指し手数が500手に達した場合、無条件で引き分けとなります。
(2019年10月に将棋ルールの変更がありました)
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